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アニメやマンガの雑記ブログ

映画『お嬢さん』を見ました

韓国映画『お嬢さん』を見たので感想です

お耽美というにはキュートすぎるし、シックと言うには毒がありすぎる!!
韓国映画のホラーもの、サイコスリラーものってこんな面白いんか?!と思った映画でした。

あらすじ

舞台は1939年の朝鮮半島。支配的な叔父と、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに暮らす令嬢・秀子(キム・ミニ)のもとへ、新しいメイドの珠子こと孤児の少女スッキ(キム・テリ)がやってくる。実はスラム街で詐欺グループに育てられたスッキは、秀子の莫大な財産を狙う”伯爵”(ハ・ジョンウ)の手先だった。伯爵はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、彼女をある場所に隔離し財産を奪う計画を企てていた。だがスッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、その計画は少しずつ狂い始めていく

amazonプライムのキャプションより引用)



※ネタバレを大いに含みますのでご注意ください

第一部

“伯爵”の企ての元、スッキが秀子お嬢様の侍女として上月家の屋敷に潜入するところから映画が始まります。
(叔父の上月は韓国人で、日本人の嫁を取り帰化
ん?第一部? てことは第二部もあるんですかね?

最初はもちろんお金目当てだったスッキですが、時間を共にするうちにお嬢様の艶やかさや孤独に惹かれてゆきます。
そして計画通り伯爵は秀子に近づき、懐柔を計ります。狙い通り、お嬢様は次第に伯爵に惹かれてゆく。ここでジェラシーを感じつつも、計画遂行のために静かに唇を震わせるスッキがいじらしい。
珠子(スッキ)はもともと赤ちゃんを育てて売りさばくという仕事をしていたためか、お嬢様を何かと「赤ちゃん」扱いするんですね~~…それがなんともかわいくて…お風呂に入れてあげるシーンやベッドで口づけを教えるシーンが特に印象的で、飴を舐める描写がすごくえっちでした…
台詞の端々に女同士の秘めやかさみたいなものがにじみ出ていて、とてもよかったです(意味ありげな目線や、着替え時にコルセットのボタンを外しながら「たくさんのボタンは私のためにある」とかさ~~…)


計画通り、伯爵・秀子・スッキの三人は上月の不在を狙って日本への亡命を果たします。(お寺で祝言を上げた夜、二人の初夜の音をごまかすように歌を歌いながら天井見つめてる珠子、エモい)
日本へ渡った後、「計画通り」薬でだんだん精神が衰弱ゆく秀子。「計画通り」精神病院へぶち込もうと車を走らせた結果、病院送りにされたのは…珠子!!!
実は秀子と伯爵は内通していたのです!!!!!!(「珠子お嬢様は自分のことを侍女だと思い込んでいる、侍女は私なのに…もとのお嬢様に戻ってほしい」と目に涙をためていた)


はいここで第一部・完!!!

え!?!?!?!?!?!?
画面の前でただ一人おいていかれる私。

そう、秀子は何も知らずにただ騙される初心なお嬢様ではなかったのです。

第二部

そしてすぐに第二部が始まります。
第一部はスッキの視点で物語が進みましたが、ここから秀子の視点へ。
秀子が韓国の伯父の家にやって来たところまで回想。
書物好きの伯父の「書物」とはいわゆる日本の春画、官能小説。それを珠子の叔母に「朗読」させ紳士たちとともに聞くのが趣味であり商売の一環のようでした。(叔母はその後桜の木で首を吊り自死

幼少期から性の朗読のための教育をされ、このままではこの頭のおかしい舌の黒い伯父と結婚させれらてしまう!と思ったその時、藤原伯爵に共謀を持ちかけられます。自分と結婚したことにして日本へ渡り、ついてきた女中を秀子として精神病院にぶち込んで、あとは各々金を手にして自由の身、だと。

そして侍女としてやってきた珠子との生活が始まります。最初は何も知らないお馬鹿さん、とあしらっていた様子ですが次第に本気で珠子に惹かれてゆく秀子。伯爵に惹かれてゆく素振りも珠子を騙すための演技で、むしろ伯爵には嫌悪感を抱いている様子でした。
でも、そんな秀子と珠子はともに藤原伯爵に利用されていると打ち明け、伯爵を陥れ二人で自由を掴むために立ち上がります。

上月家を後にする前に、伯父の持っていた蔵書(秀子を苦しめていたもの)をめちゃめちゃに破壊する珠子がまさに「救世主」でかっこよかったです。その時の表情がまさに「敵討ち」という感じで、怒りと悲しみと復讐心がないまぜになった顔がとてもよかった。


そして秀子は伯爵に毒を盛って彼のもとから逃亡、スッキも混乱に乗じて精神病院を脱出。落ち合った二人は偽造したパスポートで上海へ逃亡!!

~二人は幸せなキスをして終了~(ガチです)

船室でいちゃいちゃするふたりがマジでかわいくて…とにかく画面が綺麗なんですよ。末永くお幸せに…。秀子は強かな女だし、珠子は絶対秀子守るマンだし、何があってもきっと大丈夫だよ二人は。

第三部

上月によって韓国に呼び戻された伯爵は拷問されます(秀子と蔵書両方を失ったため)
この拷問(指切断、手の平に穴をあける)がなんとも痛い。人体のパーツを集めることも伯父の趣味の模様で、性器を切り取られそうになるが、伯爵が「煙草」に仕込んでいた水銀により、二人は死亡。
(伯爵、ちんぽ守れてよかったね)
つまり、珠子と秀子は貶めようとする男ふたりに完全に勝利したわけです。



感想

美術、衣装、台詞回し、カメラワーク、どれを取ってもいい。
雨の多い鬱蒼とした森の中にたたずむ和洋が融合した建物。アンニュイな雰囲気のお嬢様、韓国風の服を着た使用人たち…雰囲気がもう、最高です。秀子がずっと手袋をしていて、つけたり外したりするシーンが効果的に使われているのがよかった。
そして何より百合シーンがえちえち。何回も言うけど綺麗なのよ、画面が。


想像以上に日本語を話すシーンが多くびっくりした。皆さん流暢に話すからすごい。たまーに韓国人の日本語特有の訛りというか、ほちょほちょ話す感じが出るところもあって、すごく可愛かった。着物の着こなしや日本髪が完全に日本風でないところも、「日本に憧れる韓国人」という感じがしていい。


視点によってものの見方が変わる怖さや面白さを改めて実感した。
第二部の秀子視点の時、「ああ珠子、だまされてかわいそうに…この後精神病院に送られるとも知らず…」と思っていた途端に「珠子と秀子も共謀してんたんかい!」という展開になり、騙されていたのは藤原伯爵と視聴者でした…というオチになるのが面白かったですね。
こういうミステリものって答え合わせのシーンでちょっとダルくなることがあるけど、全然中だるみしないで見れたのが良かった。


うーん書きたいことの1/10も書けてない気がする。
映画の感想書くのって難しい。