犬も歩けば好きに当たる

アニメやマンガの雑記ブログ

panpanya『おむすびの転がる町』『魚社会』を読んだ

やっぱりpanpanyaさん、好きだ~!(初読は二匹目の金魚)
『おむすびの転がる町』『魚社会』、どちらもすごく面白かった。
SFのような世界観。舞台はキラキラしてない等身大の日常(しかも「川崎」というのがなおいいですね)。
日常の延長線上にある非日常というか…私が見落としているだけで、本当にこういう世界があるのかもしれないという気持ちになってくる。
描き込まれまくった背景によってお話の説得力が増しているような気がします。
そして時折出てくる宇宙人みたいな生き物とか、喋るカエルとかさかなとか、すべてがシュールなのにどこか理屈っぽくて本当に面白い。


表題作「魚社会」は本当にもう、星新一SF小説を読んでるような気持ちになる。作者のさかなに対する固執に近い何かを感じた。
そしてなんといっても「カステラ風蒸しケーキ」への執念と情熱はすごかった。一度でいいから食べて見たくなった。そして週末にでも再現レシピのパンを焼きたくなった。

その他は市営ロープウェイの話と、郵便配達の話と、「ヤッホー!」という電光掲示板を作る話と、SAでお土産屋さんを作る話が好きでした。



こういってはおこがましいけれど、私と作者は「好き」だと思うもののベクトルが似てるんだと思う。

・観光地の古いお土産屋さん
・車に潰されてぺしゃんこになった缶
・車窓から見る名前も知らない町
・なんや用途がよくわからん小物
・住宅街にあるピンクや緑のペンキで描かれた地図
・電柱、電線
・タウンページ

というか、こういうのってみんな多分うっすら好きだと思うんですが(え?好きじゃない?)、それを文字に起こし絵に起こし、ストーリーとして組み立てているのがすごいですね。
穂村弘が好きな人、多分panpanyaさんの作品も好きなのでぜひ読んでみてください。




巻末の解説やお話とお話の間に挟まるエッセイ風の文章が本当に素晴らしくて、(着眼点、言い回し、余韻、どれをとってもすごくいい)こういう文章書ける人になりたいなとつくづく思う。


あと個人的にpanpanyaさんの台詞回しや効果音、オノマトペが好き
・どら(よし、どれ、と同意)
・ガタンゴー(電車が走る音)
・ローポポー(夕方の帰宅を促すチャイム)
・HOME...(帰宅して場面が切り替わるシーン)
・すってんてん!(これはおむすびころりんの話に限る)